イタリア人NBA選手からのメッセージ

Danilo Gallinariは、コロナウイルスで大きな被害を受けている国イタリア出身のNBA選手です。リーグ12年目のベテランで、オクラホマシティサンダーの中心選手の一人です。彼がThe Players Tribuneにてアメリカ・そして母国イタリアに向けたメッセージは、日本の僕たちにも響くと思ったので一部を訳しました。

The Night That Changed Basketball Forever (バスケットボールが永遠に変わった夜)


(和訳)

3月11日の午後、アリーナに向けて家を出た時にはすべてが通常通りに思えた。

アリーナに入った時も、いつも通りの試合前のようだった。4時にシュートアラウンド、ウォークスルー、理学療法、コート上での短いワークアウト。試合前40分にミーティングをして、試合に臨む。

何かがおかしくなり始めたのは、その時だった。

相手チームを含めて、僕はいつもコートに出る最初の選手だ。コートに出ると、3人の審判が毎試合同じ場所に立っている。一人はハーフコートに、そしてフリースローラインに一人ずつ。その日、審判の姿はなかった。

何かが起ころうとしていると理解できた。

審判がいない事に気づいた瞬間、20フィート先にいたチームメイトのCP(クリスポール)の方を見た。彼も同じような顔で僕の方を見ていた。チーム最年長の2人として、多くの試合をし、多くを見てきた。が、試合前に審判が居なかったことは今までになかった。いったい、どうなっているんだ?

(中略)

最初に僕の頭に浮かんだもの。

コロナウイルス。

僕の母国イタリアは、その時点で(3月11日)COVID-19問題と1か月以上闘っていた。スポーツイベントは中止されていて、ここアメリカでも同じ事が起ころうとしていると感じた。

しかし、僕たちは何も知らされていなくて、ロッカールームに一旦戻った後も、僕と同じ事(コロナウイルス)を考えていたチームメイトはいなかったと思う。彼らはただ困惑していた。試合になると大きな音に包まれる僕たちのアリーナのフロアを出る時、ピンを落とせば聞こえるくらいに静まり返っていた。

ロッカールームで何が起きているか知らされるのを待っている時間は永遠のように感じた。少しの後、僕は声を上げた。

“コロナウイルスに関係していると思う”

言い終わるや否や、多くの選手たちが僕に質問を投げかけてきた。彼らは情報を求めていたが、怖がっている選手はほぼいなかったと思う。僕自身?、、、怖かった。

(中略)

家に戻ると、その夜はクレイジーさを増していった。

知り合いのほぼ全員が電話やテキストで何が起きているのかを聞いてきた。あんなに早く電話の充電が100から0になったのを見たことがない。1時間もかからなかった。

チームやNBAからのニュースがある事を期待して、朝の3時か4時まで起きていた。

イタリアの皆が起きる時間になると、僕の電話は鳴りつづけた。でも、母国の家族や友達は、何が起きているか聞いてこなかった。

彼らは全部解っていた。同じ状況ですでに数週間生活をしてきているから。

それまでの1-2か月は、イタリアから電話がかかってくると自然と覚悟をするようになっていた。

そしてその数日は何度も何度も電話が鳴った。

母国からの誰かの名前が電話に表示されると、起こりうる幾つもの悪い事が頭に浮かんだ。想像したことすらなかった悲しいストーリーが、幾つもある。

1-2週間前、親友がイタリアから電話をしてきた。僕もよく知る彼の祖母がコロナウイルスによって亡くなった事を知らされた。彼女は80歳だったが、ウイルスに感染するまでは元気そのものだった。

なんの前触れもなく、彼女はウイルスに感染した。病院に行った時点から家族は彼女に会うことはできなくなった。感染拡大を防ぐために、病院はコロナウイルス患者に会えなくしている。

理に叶っているいるし、理解できる。しかし同時に、愛する家族が感染してしまった人たちにとって本当に本当に辛い、胸が張り裂けるような状況だ。

親友の祖母が亡くなった時、家族はさよならを言うこともできなかった。イタリアでは、感染拡大を防ぐために亡くなった患者に誰も近寄らせない。家族にすら、遺体がどこに運ばれるかを知らせない。

それがどれだけ辛い事か、想像できるだろうか。

人生を通して愛していた人が、そんな風にいなくなってしまうことを。

同じ状況が、イタリア中の家族で起きている。もし自分の親や愛する人がウイルスに感染したら、彼らに二度と会えない可能性が本当にある。

(中略)

イタリアにいる手の専門医の親友は、物資やベッドが足りない病院の援助をしている。実際の状況は、僕たちがテレビで見るよりもよっぽど深刻だと言っていた。患者が溢れ医者やベッドが足りないために、コロナウイルスによって人が亡くなっている同じ病院で、他の疾患でも人が亡くなっている。仮に骨折をしたり、虫垂炎になったとしても、病院にスペースはなく、助けを求める事はできない。

重度の怪我や病気のどれもが、命に関わってくる。

母国の状況を知りながら、ここアメリカにいる事で自分の無力さを感じる。できる事なら助にいきたい。せめて母と80代になる祖父母の傍にいてあげたい。

愛する人が病気になり亡くなろうとしているのに会いに行けないという考え。

最悪の悪夢だ。

(中略)

僕はというと、オクラホマシティーとイタリアのために最善を尽くそうとしている。オクラホマシティーの保健所と協力して、数百のテストキットやマスク、病院で必要とされている物資を購入したり、イタリアのミラン近くに数週間で新しい病院を建てる援助をしたりしている。

この予期しなかった非常に困難な時でも、切り抜けられると心から信じている。

僕にとって第二の家であるアメリカの皆さん。引き続き賢い選択をして、家に留まりましょう。がんばろう!僕たちは今、家に留まり、できる限りの予防策をとって正しい行いをしている。全員がSocial distancingを続けることで、この戦いに勝つことができる。

そしてもちろん、イタリアの皆。僕の故郷。僕の愛する人たち。

僕を知る誰もが知っているように、僕はとても前向きな楽観主義者だ。母国を心から愛し、イタリア人の強さと立ち上がる力を知っている男だ。

僕たちが今向かい合っているコロナウイルスは恐るべき相手だ。しかし、僕たちの強さには遠く及ばない。

僕たちは、勝つ。

共に。

全員の力が必要だ。簡単にはいかない。しかし、僕たちは勝つ。

僕の家族や友達に、今までになく伝えている事は、一つになってお互いに最善を尽くし合うこと、お互いを思いやる事。それによって、この流れの逆側に行くことができる。

このような状況では、スポーツは重要ではなく関係のないもののように見えるかもしれない。しかし、僕自身はスポーツを通して学んだレッスンに立ち返っていることに気が付く。

僕が生業としているバスケットボールにおいて、素晴らしいチームは最大の逆境に面したときでも絶対に諦めない。そういうチームは、最も困難な状況でも、お互いを支え合って最後まで戦い抜く選手たちで構成されている。

困難を迎えた時、それが本当のチャンピオンが生まれる時。

イタリアの歴史、イタリア人の慈悲と愛、そして意思の強さを知っているから、僕たちは真に素晴らしいチームだと言い切れる。

僕たちは勝利を収める。

(中略)

国のために闘っている人たちを心から称賛している。僕たちは素晴らしい、素晴らしチームだ。

イタリアに住む全ての人たち。あなた達は僕を奮い立たせてくれる存在です。

愛をこめて(Con tanto affetto)。


Danilo Gallinari


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