2015年3月30日のブログ「表現の違いが生む力の大きさ」


人々が行き交う道の端に一人の盲目の乞食が座っている。薄汚れた彼の前には、数える程のコインが入った空き缶と、「HELP ME I AM BLIND(助けてください。私は目が見えません)」と汚い字で書かれた段ボールの切れ端。

道を行き交う人々のほとんどにとって、彼は存在すらしていないようだ。見向きもしない。目を遣る人がいても、そのまま通り過ぎていく。ごく稀に、少量のコインが空き缶めがけて放られる。的を外したコインは空き缶の周りに散らばり、盲目の乞食は、それを手探りで一生懸命に掻き集める。

一人の女性が通りかかった。サングラスをかけた彼女は乞食の前を一度は通り過ぎたが、足を止めて引き返し、乞食の前で立ち止まった。大きめのサングラスによって、表情は読み取れない。乞食は手を伸ばして彼女のハイヒールを触り、自分の前に誰かが立ち止まっている事を確認する。少しのコインが入った空き缶と「HELP ME I AM BLIND」と書かれた段ボールの切れ端を暫く見つめた女性は、その段ボールの切れ端を手にとり、困惑した表情の乞食を他所に、固い表情のままその裏側に何かを書き始めた。書き終わると、一言も発する事も一つのコインを空き缶に入れる事もなく、女性はその場を去った。

それからというもの、道を行く人という人が空き缶の中にコインを置いていくようになり、空き缶はあっという間にコインで一杯になった。

先ほどの女性が再び通りかかり、乞食の前で足をとめた。手を伸ばして触ったハイヒールで、乞食は目の前の人間が同じ女性だと知り、「what did you write?」と、当然の質問を投げかけた。女性は「I wrote the same…but in different words (同じ事を、違う言葉で書いたのよ)」と言うと、初めてその顔に笑みを浮かべ、その場を去った。

段ボールの裏側にはこう書かれていた。 「ITS A BEAUTIFUL DAY AND I CANNOT SEE IT」 (この美しい今日の日を、私は見る事ができません)

今日の研修で流れた1分半のビデオクリップが強く印象に残ったので、思い出して文にしました。言い方を含めた表現方法の違いが生む力の大きさ。



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